「誰もがときめいてほしいです。あなたしかできないことを形にしませんか。私たちは、お手伝いもしますし、演出もしますし、自立のサポートもします」
こう語るのは、”こだわりの、心のこもった、オリジナリティのある”をコンセプトに三ッ星の店舗が集う山陰三ツ星マーケットを主催する代表の渡世唱子さん。普段は、丸由百貨店(旧大丸)5Fのプレイヤーズマーケットでコミュニケーターとして、地域の商品と人、人と人をつなぐ活動をしている。
山陰三ッ星マーケットの出店登録者は、現時点で500店舗を超え、地域でも注目を集めている。今回、この山陰三ッ星マーケットをはじめるきっかけから、今後の展望について話を伺った。
インタビュー形式でお楽しみください。
「ときめく感じで」と唱えていたら、ときめきマルシェにつながった
ーー山陰三ッ星マーケットがスタートしたきっかけを教えてください。
移住定住者を増やすために、民間の中からアイデアを盛り込んでイメージングする鳥取県主催のワークセッションがあって参加したんです。2泊3日で移住体験をさせるのにどうしたらいいかというテーマでした。わたしは、自分が移住をするなら、その土地の食材や美味しいものが気になると思ったんです。
ーー住もうとしている土地の食べものは重要ですよね!
移住というと、単身者をイメージしますけど、夫婦だったら奥さんだったり、結構女性にゆだねるって言ったらおかしいですけど、女性目線で見た場合の意見をしたんです。鳥取は、食材豊かだし、まずは自然を体験してもらうのはどうかと提案しました。
ーー女性目線を意識されたんですね。自然体験はいいですね。
農体験を1日目にして、2日目に採れた野菜を加工をして、3日目に作った加工品を持ってマルシェに参加したらどうかと考えました。このときに、わたしが何度も「ときめくような感じで」と唱えていたようで、周りの人がそれなら「ときめきマルシェ」で2泊3日の移住者体験を組み立てましょうと言ってくれて、 仕掛け作りの話が進みました。話しているうちに、これは本当にできるんじゃないかと。団結が生まれてきて、月1でみんなで集まって面白いことしようかみたいな感じになったんです。
「ときめきマルシェ」が「山陰三ツ星マーケット」へ
ーーそれで実際にマルシェが実現したんですね。
ある時、丸由百貨店(旧大丸)の屋上でまるにわガーデンを運営している齋藤さんから、ときめきマルシェじゃないけど、ちょっと1回バードハットで1000人規模を集客するようなイベントしませんかってお誘いがあって。
実証実験として、2017年10月から12月の3か月、丸由百貨店(旧大丸)の屋上と下のバードハットでやってみようって。それまでに、神戸とかの街並みを見たり、マルシェの見学をしました。
ーー具体的になってきましたね。
元々はときめきマルシェでしたけど、いろんな意味で広い視野で見た方がいいんじゃないかと言われて。それで、山陰っていう枠の中で三ッ星っていうので、「こだわりの、心のこもった、オリジナリティーのある」という、この3つがそろった展開にしようという風に作り立てました。
山陰三ッ星マーケットの責任者として運営がスタート
ーーついに「山陰三ッ星マーケット」が実現したんですね。
これは実証実験だから、もしこれが続くとしても、実行委員でサラリーマンとか集まってるし、なかなか毎週集まって話し合いは難しいわけです。週末にイベントするとみんな疲れたりして、私は割とフリーだったから動けたんですけれど。
そのなかで、発展するために1回解散することになりました。こうして実証実験が終わったあと、三ッ星マーケットの運営を私が責任を持ってやることに決めました。事務局を立ち上げて今に続いているという感じです。5年を迎えます。
ーー5年継続!素晴らしいですね!
生まれ変わる丸由百貨店(旧大丸)でプレイヤーズマーケットの管理者に抜擢
ーー現在は、三ッ星マーケットの開催だけでなく、丸由百貨店(旧大丸)の5階プレイヤーズマーケット※を管理されていますね。(※1か月単位で誰でも借りられるレンタル出店スペース)
はい。2年前くらいに、百貨店さんが生まれ変わらないといけないという流れになって、母体自体がもう2年前に変わってるんですね。
その動き始めのきっかけが、5階と屋上です。もう百貨店意識は取り除きましょうと、皆さんが誰でも参加できる、チャレンジスタイルの空間を作られたんですよ。そうなった時に、百貨店さんには管理する人がいなくて。 もしよかったら、コミュニケーターとして管理してもらえないかと言われたんです。
ーー大抜擢ですね。
三ッ星マーケットは、1~2日の開催で、出店者が事業化するにはちょっと足りないんですよね。ファン作りにしても。1か月、2ヶ月のチャレンジする場所って必要だなと思っていたんです。そうしたら、百貨店さんからそいういう声がかかって。
コロナ禍になって、どうするのという話になったんですけど、でも、コロナが逆にいい きっかけになりました。出店した作家さんで手の器用な人がいて、マスクが必要だからとマスク作りしたら、もうそれが繁盛したとか。
ーーコロナ禍を逆手にとった販売がヒットしたんですね!作家さんにとっても自信になりましたね。
今の時代に合わせた 戦略で対応したというか。これからいろんな意味で改革しないといけないですよね。世の中変わるわけだから。プレイヤーズマーケットは、そういう意味でもすごくカジュアルにチャレンジできる場所なんです。
ーー半年先までは予約が埋まっているそうですね。
はい。ありがたいことに。出た人がみんないい感じになっていて、そのお手伝いをしているという感じです。ときめきだけで前に進んで来ているんですよ、ほんとうに。
「あなたのときめきをもっとカタチに」というキャッチフレーズを掲げて。ときめくって発動系なんですけど、ワクワクとかね。こういう今の時代だからこそ、すごく大切な要素が入っていると思っています。
今後は中心市街地から離れた場所でも展開していく
ーー今後はどのようなことを考えていますか。
今こうやって中心市街地をベースにやっているんですけど、 今年は中心から外れて、今までやったことのないエリア、例えば、久松公園という新しいところで山陰三ッ星マーケットを開催したり、まだ光が差していないところに出ていこうと思っています。郊外の方でも、観光地に人が呼べないから、マルシェでにぎわいを作れないかという声があります。
ーーにぎわいを作る役割ですね!
やっぱりそういう光をあてる役割というのがあるのだと思います。出店者さんのパワーがいりますが、そういう人たちが心踊る出演をすることで、その場所が使いやすくなったりとか、改善されたらいいなと思っています。
フードロスにも貢献!地元野菜をもっと知ってもらう”いいBento”の取り組みへ
ーー県外での反響も大きいと聞きました。
はい。4年前ぐらいから、大阪の「麒麟の町」というアンテナショップに鳥取産の野菜を運んで販売しています。道行く人が「鳥取の野菜です」と言っただけで振り向いて、「鳥取いいよね」ってそれだけで会話できるんです。美味しくて、安くて安心だよねとよく言われるんですよ。
ーー鳥取野菜が魅力だと思われていることは嬉しいですね。
もしかしたら、地元の人たちには当たり前すぎて、地元のものの良さがわかっていないかもしれないと思いました。だから、鳥取の人たちが地元の食材とか、大地の恵みっていうのをもっと味わった方がいいと思いました。鳥取の大地の恵みは本当にすごいと思います。山陰も含めてですけれど。
ーー地元野菜のフードロスの取り組みもされていますね。
直売所で、毎日野菜がカートンで捨てられることを知ったんですよ。私はそれがもったいないと思ったんで、”もったいない旨いもの、お譲りください”という チラシを置いて、農家さんに三ッ星カートに入れてもらうようにしているんですよ。
ーー素晴らしい取り組みですね!
県外にももったいないから、とにかく持っていったりしています。今、コロナで 弁当事業が増えましたよね。だから、野菜をお弁当に変えたり、月に1回フードロスを使った弁当で、「鳥取のいいBento」という事業をしています。
誰もがときめいてほしい!そのお手伝いをします
ーー読者へ伝えたいことはありますか。
誰もがときめいてほしいです。三ッ星マーケットはお手伝いもしますし、演出もしますし、自立してもらうっていうサポートもします。
ーーぜひ、独立を考えている方など、気軽にコミュニケーターの渡世さんをお訪ねください。本日は、ありがとうございました。
インタビューを終えて
まるで見えない使命にでも突き動かされているかのような情熱と行動力。
お話を聞きながら、そんな印象を受けた。
リスクを恐れず果敢に新しいことに挑戦する姿は、多くの人たちに勇気と希望を与えるだろう。
何事もまずはやってみる!
さまざまな人たちと関わり、チャンスをつくり、人と人をつなげていく。
渡世さんには、不思議で素敵な魔力がある。