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鳥取市

【鳥谷一弘さん】町を元気にしたい!

因幡商人 鳥谷一弘(とりたに かずひろ)さん

はじめて鳥谷さんと出会ったのは、2019年のハロウィン。

狐姿の花嫁さんや袴姿の人などさまざまに仮装した行列が、鳥取の中心市街地を練り歩いているところに出くわした。

なんと華やかで面白いこと!写真を撮っている人たちもたくさんいた。

この企画をしたのが、用瀬町で、理美容室アトリエシャルムを営んでいる鳥谷さんだ。

「平成の大合併」により、中央へ人が移動するなど活気が少なくなった町を元気にしたい!と立ち上がった。

八頭郡に属していた用瀬町は鳥取市に編入され、自治の管轄が鳥取市となっている。

鳥谷さんは、平成21年に任意団体のグリーンツーリズム用瀬を作り、平成26年にはNPO法人化し、インバウンドで外国人向けのツーリズムを企画するなど、精力的に活動を続けている。

鳥谷さんの活動をご紹介します。

地元でお客さんを相手にしながら、町が衰退していくのを目の当たりにした

鳥谷さんは鳥取市の用瀬町出身。現在は、Uターンして用瀬町で理美容室を営んでいる。

それまでは、鳥取の理美容学校を卒業後、東大阪で美容師をしていた。6年間いたが、用瀬町で理容室を経営していた父親が体調を崩したため、地元へ戻ってきてお店を手伝うことになった。

父親が他界したあと、お店を現在の場所に移転し、鳥谷さんは自分のお店として運営をスタートさせた。

お客さんを相手にしながら、町が衰退していくのを鳥谷さんは目の当たりにした。

町を元気にしたいという思いから、まずはお店でのイベントを始める。

グリーンツーリズム用瀬を立ち上げる

お店内外でイベントをするかたわら、鳥谷さんは地元である用瀬を元気にしたいという思いから、グリーンツーリズム用瀬を立ち上げた。

拠点は、空き家になっていた古民家長谷川邸だ。

ほったらかしになって、朽ち果てることや管理で問題になる前にとの思いもあった。

最初はひたすら掃除をすることから始め、補助金を使いながらリフォームし、綺麗にしていった。

ここでは、ライブやワークショップなどのイベントを開催するほか、民宿として県外のお客さんも誘致している。

現在、airbnb※サイトからのお客さんでほぼ毎週末は予約が入っている。

ワークショップでは、町で高齢者、児童、障害者に対して社会福祉事業を行っている特定非営利活動法人「十人十色」の障害のある人たち向けにクロモジを使った染め体験の企画などもしている。

※airbnb 世界中の別荘やコンドミニアムをレンタルできるオンラインサービス

長谷川邸の2階の様子
長谷川邸の1階。広々とした畳の間がある。

交流人口を増やす取り組み

鳥谷さんは、このグリーンツーリズム用瀬を拠点にさまざまなイベントを企画する。

コロナ禍の前は、外国人を誘致するインバウンド事業として、女子力アップツアーを企画。

地元の商工会とコラボし、3つの里(用瀬、河原、佐治)を舞台に、お客さんに着物を着てもらい、ヘアメイクをして町歩きをしてもらうほか、農作業服を着て収穫体験をしてもらうなどの田舎体験だ。

「山間地域に来てもらって、農作業を手伝ったり、地元の生活を体験してもらいます。民泊して、そこで採れたものを使って料理して食べたり、地元の人たちと交流してもらうんです」

できれば、移住してもらいたい一方で、その難しさも鳥谷さんは感じている。

「田舎は最初は物珍しくて、2、3泊ぐらいまではできるんですけど、ここで暮らすとなると不自由なんですよね」

交流人口を増やすことで、地元の人たちが作っている農作物などを買ってもらえる仕組みを作りたいと語る。

着物を着て街中をあるく外国人
メイクアップをする鳥谷さん

鳥取のまちなかを盛り上げるイベントを主催

地元の用瀬町を元気にする取り組みのほか、鳥谷さんは鳥取市の街中を盛り上げる取り組みもしている。

ハロウィンの時期には、「とっとりまちなかハロウィーン」というイベントを企画。

鳥取城に伝わる狐伝説をモチーフに、狐の嫁入り行列を街中で行う。理美容の仕事を活かし、ヘアメイクして仮装した行列が街をねりあるき、参加者だけでなく町の人たちにも見て楽しんでもらうイベントだ。

ヘア&ダンスショーなどのステージも行われる。

ハロウィンの行列を見たあとに、商店街で買い物をしたり、ご飯を食べるなどして帰ってくれたら経済効果にもなるので、中心市街地を盛り上げたいとの思いがある。

鳥取空港の活性化にも関わり、コーヒーフェスティバルなども企画する。普段、空港に来る用事がない人たちにも来てもらって飛行機を見たり、食事などをしてもらいたいと語る。

これからの展望

鳥谷さんのこれからは、アトリエシャルムの取り組み(理美容)、古民家長谷川邸の取り組み(NPO法人グリーンツーリズムもちがせ)、とっとりまちなかハロウィーンの取り組み(地域活性化イベント)を3本柱に、さらなる展望がある。

それは、「ラオスビューティープロジェクト」である。

2019年から鳥谷さんは、「日本のかわいいを世界に」を掲げて、アジアの最貧国といわれるラオス人民民主共和国で美容を通じて自立しようとする女性(美容師等)を支援する取り組みに関わっている。

いずれは、ラオスに自分のサロンを出してみたいという。

仕事としては、経営している理美容室を中心に、新たな価値を創造していく鳥谷さん。

いろいろなモノを掛け算して業界(理美容)を地域(鳥取)を世界(アジアから)を元気にしていきたい!と意気込む。

アトリエシャルム 鳥谷さんが運営する美容室

グリーンツーリズム用瀬

インタビューを終えて

因幡地域を盛り上げる商人として、鳥谷さんの活動が楽しみだ。

地域活性を県内だけで考えるのではなく、海外を視野に入れた取り組みに可能性を見ている。

そして、交流事業などそこに住む人たちと外から来た人との関わりによって、みんなが元気になってほしいという思いが素敵だ。

一方的でなく、交流から生まれる力はきっと想像以上。

ぜひ、みんなで盛り上げて行きたい。

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