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伯耆町

【ひろたあやさん】みなさんが心地よくすごせる空間をつくりたい

食堂カフェcwtch(クチュ) ひろた あやさん

鳥取の中西部、鳥取最高峰の大山(だいせん)をのぞむ伯耆町(ほうきちょう)。

伯耆町から見る大山は伯耆富士と呼ばれ、富士山のような美しさが魅力。

自然豊かなこの地域に、梨の選果場がリノベーションされたカントリー風な建物がある。

敷地内にはバラ園があり、シーズンには見事な花を咲かせる。

その名もRose Garden Terrace.(ローズガーデンテラス)。

このテラスを借りて、春と秋に食堂cwtch(クチュ)を運営されている、あやさん。

食堂のかたわら、冬は酒蔵で酒づくりをする蔵人でもある。

食堂をはじめたきっかけから蔵人のお仕事のことなど、お話を伺った。

大山が好き

大山

あやさんは、鳥取の米子市に住み、

鳥取、とくに大山を気に入っているという。

「水もお米もとても美味しいです」

食堂を営むだけあって、あやさんには食が大切という思いがある。

鳥取には素材がたくさんあるのも気に入った理由だ。

食堂や家で使う水は、大山の湧き水を汲んでいる。

ジビエにしても、イノシシや鹿などは駆除の対象であるが、命をいただくという観点からとても大事に丁寧にさばいて食材にしている専門の人がいるという。

その道50年というベテランで、お肉のスペシャリストだ。

さばかれた肉は、美味しいだけではなく見た目にもとても美しい。

スーパーなどで売られている肉の多くが人間が食べるために薬を与えられながら育てられているのに対し、まず先にいただくべきものとして大切に使っていきたいとあやさんは言う。

お酒好きが高じて蔵人になる

酵母が発酵している様子

あやさんにとって、暮らしの中心は”食”だ。

1日の終わりの楽しみは、お酒。

もっぱら飲むのは日本酒とワインだ。

そんなあやさんに、友人が酒造りの仕事があることを教えてくれた。

冬場だけの仕事であったため、すぐには始められなかったものの、前職を辞めたタイミングで思い切って現場に飛び込んだ。

酒米が蒸し上がったところ

酒造りの「造る」という言葉には、祈りを込めてつくるという意味があるという。

実際に蔵人として酒造りをはじめると、とても奥が深いとわかった。

お酒というのは授かりもので、お酒になるように人間は手を貸しているだけ。

「知らないことが増えて、知りたいことがまた増えるという感じです」

お酒の発酵途中の様子

麹を発酵させる部屋にいると、別世界にいるような気分になると幸せそうに語るあやさん。

酒蔵で作業をしながら、菌や水からパワーをもらっている。

通りすがりに気になったローズガーデンテラスへ

ローズガーデンテラス

酒蔵に通う道すがら、あやさんは気になる建物を見つけた。

古い学校のような雰囲気のある木造家屋だ。

ある日、訪れたタイミングでこの建物のオーナーと出会えた。

コロナ禍で締めていたが、ローズガーデンテラスとして以前はカフェをしていたことがわかった。

ローズガーデンテラスの庭

とても居心地が良いと感じたあやさんは、この場所が開いていてほしいという思いを強くもった。

食堂をスタート

店内の様子

食べることを大事にしている延長で、あやさんはいつかお店をしたいという気持ちを温めていた。

それまで、飲食に携わる仕事をしてきたこともあり、ご飯を作ったり、お茶を出す食堂をすることを思い立った。

こうして、レンタルスペース利用という形であやさんはローズガーデンテラスで食堂を始めた。

ぼんやりと描いていた夢が現実となって、急に目の前にあらわれた。

食堂の名前は、「食堂カフェcwtch(クチュ)」。

忙しい日常のなかで、ちょっと立ち止まってそっと寄り添ってくれるような居心地のよい場所を作りたいという思いを持っていたあやさん。

cwtch(クチュ)とは、イギリスのウェールズ地方の言葉で居心地が良い、人に寄り添う、包み込む、隠れ家といったさまざまな意味がある。

まさにぴったりな名前だ。

心地よくすごしてもらいたい

地元の食材をふんだんに使ったランチセット

子供がアレルギーがあったことから、あやさんは食についてはいろいろと勉強してきたという。

病院に行く前に症状を変えられないか。免疫が高かったら薬に頼らなくていいはず。

食でなんとかしたいという思いだった。

「量じゃなくて、何を食べるかが大事」

食材には地元のものを中心に、体に自然に入っていくものを使う。

自然のエネルギーや作っている人の想いも体に入るからだ。

そして素材を生かした料理を心がけている。

「お腹を満たす食べ物ではなく、食べ物で体と心が整えばいいなと思います」

あやさん自身はあくまで、料理を通してパワフルな素材をお客さんに届けるという間接的な役割。

そこからはあやさんの自然に対しての謙虚な姿が浮かび上がってくる。

「食べることはもちろん、心地良くすごしてもらえたら嬉しいです」

ctwch(クチュ)でのひとときで、心と体のリセットをしてもらえたらと思っている。

テラスの庭はバラの季節のみオープンしている

これから

テラスを借りて食堂をスタートして1年。

まずは、お客さんが食べたり飲んだりできるこの空間を大切に、食堂を続けていきたいという。

そして、いつかは自分のお店を持ちたいというあやさん。

器やお箸などのカトラリーにもこだわって気に入った空間づくりを目指している。

食堂カフェctwch

食堂の営業日は、インスタグラムをご覧ください。
※ローズガーデンテラスでの営業は6月の営業日で終了。

インタビューを終えて

木漏れ日が差し込むどこか懐かしい空間にぴったりな、明るく透明感のある雰囲気のあやさん。

お話を聞きながら、食へのひとかたならない想いをひしひしと感じた。

「心穏やかなひとときを過ごしてもらえるような場所になるように。それをこの鳥取の風景や恵みのなかでつくっていけたらと思っています」

丁寧につくられた料理とゆったりとしたひとときが過ごせる空間。

ピンと来たら、ぜひ、食堂カフェctwchを訪れてみてください。

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